GET UP AND DANCEの話。
寝起きが悪い。
低血圧のせいにしてきたがそうではない、怠惰なだけだ。
と言いつつ、目が覚めたら起床予定時刻を大きく過ぎていたということはほとんどなく、大抵の場合いつもの時間に自然と目が覚める。
そこで僕がまず思うこと、それは「死」である。
病んでいたり哲学的な意味があるわけではない。
「昨夜も夜更かししたのに、こんな時間に目が覚めてしまった。このまま起きて行動した場合、寝不足で死に至るかもしれない。今起きるわけにはいかない、二度寝しよう」
という思考回路が働くのだ。一種の自己防衛本能である。
低血圧のせいではない、怠惰なだけだ。
職業柄朝は遅いのだがそれでも毎朝9〜10時まで寝ているわけにはいかない。
そこで一計を案じ、目覚ましのコール音を朝にふさわしい音楽、
スチャダラパーの「GET UP AND DANCE」に変えてみることにした。
これが効果抜群だった。
GET UP AND DANCEは知ってる人となら知っていると思うが、朝のちびっ子向け番組の先駆け的存在で緑色の恐竜の化け物キャラを輩出したことでも有名な「ポンキッキーズ」で使用されていた楽曲である。Freedomの楽曲が元ネタなのだけどポンキッキーズとスチャダラパーのイメージが強い人が多いのじゃないかしら。
ポンキッキーズverの音源だとBOSEの「おはよーさーん!」のかけ声ではじまり
「いきますかー!元気ー?」「元気ー!」のようなコール&レスポンスがある。
本当に一発で目が覚める。というか起きざるを得ない。そりゃそうだよ
「準備はいいですかーー!?」と聞かれたら「はーーい!」
と答えるのがポンキッキーズ世代が背負っている宿命なのだ。
そしてこの曲のもう1ついいところは曲自体が長いこと。全部で8分くらいある。流しっぱなしにしてソウルセットの渡辺さんのパート(GET UP AND DANCEはスチャダラパー以外にもたくさんアーティストが参加しているオールスター的一曲なのだ)くらいまで部屋の掃除をして曲が終わったらシャワーを浴びに行く。めちゃくちゃ調子がいい。
ひょっとして自分は天才なんじゃないかと思った。
「GET UP AND DANCEと覚醒に関する前向きな検討」という新書でも出してやろうかと思っていたのだが、いいことはそう長く続かない。
そう、慣れがきたのだ。
最初の2週間くらいはよかった。
3週間目のある朝、僕は思ってはいけないことを思ってしまう。
「BOSE…人が寝てるのにうるせぇな…」
一度そう思ってしまうともう止まらない。
坂道を転がり落ちるようにGET UP AND DANCEのカリスマ覚醒能力は下がっていく。
今では「元気ー!(元気ー!)勇気ー!(勇気ー!)」の箇所までに
目覚ましを止められるまで成長してしまった。
もうだめだ。スチャダラパーさんごめんなさい。
「はーーーい!みなさん準備はいいですかーーーー!?」
「よくない、よくないよ……」
シモカワ
※「GET UP AND DANCE」はすごく楽しくてハッピーな良曲です。
聞いたことない人は是非聞いてみてね。