シモカワノニッキ

あたまの中がカユいんだ。

総務のNさんの話。

総務のNさんはとてもハキハキとした気持ちのよい女性だ。

 

エレベーターや廊下で会うといつも大きな声で気持ちよく挨拶をしてくれて、遭遇した同僚に対してなおざりな会釈で済ませようとしてしまう自分が恥ずかしくなる。

三島由紀夫が「挨拶とはすなわち自分を守るための防衛手段である」という趣旨のことをどこかに書いていたと記憶してるんだけど本当にその通りだと思う。

気持ちよい挨拶ができる人ってみんなに好かれるもんな。

 

話が逸れた。

 

そんなステキなNさんなのだけど、少しおっちょこちょいというか大袈裟&オーバーリアクションなところがある。入社した直後Nさんから会社で加入する保険の説明を受けたときの話だ。

その保険は僕の身になにかあった時、親族にいくらかのお金が支給されるという内容のものだった。Nさんが申し訳なさそうに捲し立てる。

 

あのね、これはね、えっと、あの本当にこんなことがあってはいけないことなのだけれどもね、本当にダメなのよこんなことがあっては…でも一応決まりでね、いや、絶対にダメよダメなんだけど、万が一、万が一!まんがいち!!まんがいちぃぃぃぃ!!!下川さんに何かあった時に親族の方にね、お見舞い金がね入るように…いや、ダメよ、そんなことあってはいけないの!いけないのだけれどもね…でも決まりでね…ここにサインをおねがいできるかな?本当にごめんね」

 

 

少し笑いそうになったが、なんていい人なのだろうと思った。

「いえいえ、全然大丈夫です。ありがとうございます」

そう応えてサクッとサインをすると続けて結婚したときに提出する書類の話になった。

おそらくNさんは保険の時のテンションを引きずってしまっていたのだと思う。

 

「あのね、これはね、うん、下川さんがね、万が一、まんがいち!結婚したときにね会社に提出してもらう書類でね」

 

 

 

Nさん

 

絶対結婚してやるからな。

 

 

シモカワ